プリコーのバックグラウンド

【2004年07月13日】

~1984年に立ち上がったPRECORブランドの革新に彩られた歴史~

革新に彩られた歴史
スムーズで衝撃の少ないフィットネス体験の提供においてリーダーシップを取り続けているプリコー。その歴史は、工業デザイナーのデヴィッド・スミス(David Smith)が人間工学に基づいた画期的なロウイング・マシンを設計した1980年に始まります。スミスは、小さな会社を起して、Amerec 610と名付けたロウイング・マシンのOEM製造に乗り出します。

1982年になって、ビル・ポッツ(Bill Potts)がスミスの会社に参画。スミスは、エクササイズへの意欲を高める継続的なフィードバックの提供とワークアウト効果の向上を実現するマイクロプロセッサ内蔵の電子機器を考案します。その成功に勇気づけられたポッツとスミスは、他の企業のためのOEM製造の枠を超えた大きな可能性を意識し始めることになります。

こうした二人のビジョンが結実した結果、1984年にプリコー(Precor)ブランドが立ち上がります。しかし、その直後にダート&クラフト社(Dart and Kraft, Inc.)が買収に乗り出し、会社はその傘下に入ることになります。その後、順調に成長を続けた会社は、何回かの組織変更を経て、社名をプリコー社(Precor Incorporated)に変更し、プリマーク・インターナショナル社(Premark International, Inc.)の独立子会社として営業を始めます。

1985年には、プリコーの現社長(2004年時点)であるポール・バーン(Paul Byrne)がセールス&マーケティング部門に参画。運動科学を学びフィットネス専門機器販売のプロとして活躍していたバーンは、販売代理店が顧客のニーズにより密接に対応できるようにするために、販売と教育プログラムと合せてトレーニング・プログラムの開発も行い、新しい方向性を打ち出します。これと同時に、ホーム・フィットネス製品にトレッドミル2機種とロウイング・マシン数機種、固定サイクル2機種を追加しています。

臨床面での高い信頼性
独自の臨床研究に加えて、心血管分野の先端研究機関であるクーパー・クリニック(The Cooper Clinic)との密接な個共同作業の結果、プリコーのE/L(エルゴロジック=Ergologic)エレクトロニクスは大幅な躍進を遂げました。クーパー・クリニックと共同開発したワークアウトを複数のホーム・ユーザーがそれぞれカスタマイズして、自分用のプログラムとしてを保存し、統計データをトラッキングすることができるようになりました。

また、人間工学におけるプリコーのリーダーシップも、オレゴン大学の身体力学専門家との継続的な協力関係のおかげで強固なものとなり、スムーズで流れるような無理のないエクササイズ体験の提供が実現しました。

クラブ市場への進出
1990年にプリコーは、新開発のIntegrated Footplant?技術とGround Effectsィ技術でこれまでになく快適で効率のよいワークアウトを実現したC960シリーズ・トレッドミルでクラブ市場への進出を果たします。

1995年には、フィットネス業界に大きな変革をもたらし、その後のカーディオ系(心肺機能系)フィットネスの標準を決定づけることになる初のクロストレーナー、EFXィ544を発表します。当初ヘルス・クラブ向けに設計されたEFX544には、傾斜角度を変えることで重点的にワークアウトしたい部位を決められる特許取得技術のCross Rampィシステムが採用されています。その後プリコーは、上半身の運動もできるトータル・ボディ・エリプティカル・クロストレーナーなど、家庭向けとクラブ向けのクロストレーナー製品を次々に投入することになります。

1998年にプリコーは、ストレングス機器製造メーカーのパシフィックフィットネス社(Pacific Fitness)を買収し、さらに事業拡大を押し進めます。この買収とそれに続くストレッチ・トレーナー(StretchTrainer?)の発売を機にプリコーは、筋力系/柔軟性/持久力系の3つの分野のトレーニングを網羅する総合的な“トータル・フィットネス”製品ラインを打ち出すことになります。

業務効率と顧客価値の改善にフォーカス
1999年に、親会社のプリマーク・インターナショナルが精密加工部品と工業用システム専門の多国籍企業であるITW社(International Tool Works)に買収されます。ITW社の傘下でプリコーは、付加価値と顧客満足度の高い中核技術にフォーカスし、業務効率を改善することを目指した3年計画を実施。ITW社の傘下にあった3年間で、社員一人当りの売上げの64%増加、製造原料の在庫量の半減、全般的な生産性の3割以上の向上を達成しました。さらに、当初から業界内でも標準的なレベルだった製品保証コストをさらに圧縮して、最終的には57%の削減を達成しています。

同じ時期にプリコーは、フィットネス業界の内外から取締役を招き、また優秀な社内のマネージャーを昇進させて、取締役会の顔ぶれを刷新させています。

財務体質の強化と顧客へのフォーカス
2001年には、プリコーの財務面での強さを証明する事件が起こりました。それは、最大の顧客だったBusyBodyフィットネス機器販売チェーンの倒産です。大きな損失を被ったにも関わらずプリコーは、他の多くのフィットネス機器メーカーとは対照的に、堅実な売上げを維持して危機を乗り切りました。さらにプリコーは、BusyBodyが占めていた全米規模の市場を網羅する強固かつ多様な販売ネットワークを迅速に再構築することにも成功しています。

プリコーはそれまでにも技術革新と卓越した品質で知られてきましたが、2001年から2002年にかけて、研究開発/製品設計/製造/フィールド・サービス研修に力を注ぎ、製品のクオリティとサービスをより一層高いレベルに引き上げることに成功しました。

ITW傘下にあった時期にプリコーは、顧客へのフォーカスと業務効率の改善を通じて、生産性と財務体質の強化を図った結果、製品の革新性と品質がより一層高く評価されるようになりました。

グローバル・リーダーを目指す
2002年10月にプリコーは、フィンランド首都ヘルシンキを拠点とするスポーツ・エクイップメント分野のグローバル・リーダーであるアメアスポーツ(Amer Sports)によって1億8千万ユーロで買収され、プリコーにとっての新しい一章が開かれることになります。

特定分野にタイトにフォーカスした工業製品分野の親会社の下から、スポーツ関連製品のグローバル・リーダーとなることにフォーカスした会社の下に移行したことによって、プリコーの経営方針にも大きな変化が訪れます。

プリコーにとってアメアスポーツは、継続的な成長と安定性の確保に向けて積極的な投資を惜しまず、さらにグループ内の他のスポーツ関連製品ブランドがもつ知的資産と子会社間の交流で生まれる相乗効果のメリットを提供してくれる存在となりました。

20年以上にわたって革新的な製品のリリースを続けてきたプリコーは、創立以来初めてのサービス商品となるInSiteィを2003年に発表します。InSiteは、ジムやクラブなどの施設の経営者にとって大きな悩みの種であるフィットネス器具の管理という問題を正面から見据えた画期的なサービスとなりました。

流れるように滑らかで自然な動き
プリコーは、高齢者層への傾斜が進む市場においても、絶好の地位を確立しています。それは、身体への負担の少ないフィットネス体験というニーズを満たすことにフォーカスした強力な製品ラインと新しいブランド/製品マネージメントのおかげだといえます。

団塊の世代が高齢化するにつれて、衝撃の少ないクロストレーナーとトレッドミルの販売台数が増加し、さらにストレングス・トレーニング機器の売上げも順調に伸びてきています。これは、ユーザーの要求が、流れるように滑らかで自然な動きのエクササイズと運動の本来の目的を損なうことのない機器に移行してきているからに外なりません。

“トータル・プロダクト”のビジョン実現に向けた企業買収
2004年1月にプリコーは、コマーシャル向けストレングス機器メーカーのアイカリアン(Icarian)の買収に踏み切ります。これによって、ジムやクラブなどのフィットネス施設のニーズに、今だけではなく将来にわたって対応し続けることを目指した“トータル・プロダクト”の提供というビジョンの実現に向けて大きなステップを踏み出すことになったわけです。アイカリアンの買収に引き続いて同月、エンターテイメント技術のリーダー企業であるクラブコム(ClubCom)も同社のカーディオシアター(Cardio Theater)ともども買収し、グローバル・リーダーシップの獲得に向けてさらに大きなステップを踏み出します。同時にプリコーは、新しい法人向けリースの提供を開始して、顧客サービスの強化にも着手しています。

ジムやクラブなどのフィットネス施設向けのストレングス機器であるアイカリアン・シリーズが加わったことによって、プリコーの事業は再び大きく変化を遂げます。6つのカテゴリに分類された150種類の製品からなるアイカリアン・シリーズは、コマーシャル向けストレングス機器として業界で最も充実した製品ラインであると同時に、プリコーのカーディオ関連製品を完璧に補完する存在となりました。固定モーション(ウェイト選択式)とフリー・モーション、マルチ・ステーション、プレート・ロード、フリー・ウエイト器具、ベンチおよびラックの豊富な選択肢で構成されたアイカリアン・シリーズによって、プリコーはあらゆる施設のあらゆるニーズに対応することが可能になりました。

同様に、ビデオ/オーディオ関連システム分野のリーダーであるカーディオシアターとプライベートTVネットワーク分野のグローバル・リーダーであるクラブコムを手中に収めたことで、フィットネス施設におけるエンターテイメントおよび広告宣伝のニーズにも十二分に対応することが可能になりました。さらに「エンターテイメント」「フィットネス機器」「フィットネス体験」の3つの分野の技術を融合させるというプリコーのビジョンに技術的な骨組みが与えられることになりました。